郊外通勤圏で集合住宅の急拡大:過去10年で350万戸超の供給
- hayashi30
- 3月22日
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米国の集合住宅市場では、過去10年間(2014年〜2024年)で約350万戸の新規供給が行われ、全体で21%の増加となりました。とりわけ注目されているのは、大都市の通勤圏サブマーケット。マンハッタンの周辺地域をはじめ、全米でこの「通勤圏」が集合住宅の開発の中心地となっています。
供給が最も多かった通勤圏マーケット TOP13(2014–2024)
RealPage Market Analytics のデータに基づき、10年間で17,000戸以上の供給があったマーケットは以下の13地域です。
ランキング | 地域 | 供給戸数 | 在庫増加率 |
1位 | Brooklyn(NY) | 35,890戸 | +7.9% |
2位 | Jersey City(NJ) | 27,813戸 | +52.2% |
3位 | Frisco(TX, Dallas) | 26,618戸 | +238.3% |
4位 | Queens(NY) | 22,960戸 | +8.8% |
5位 | Allen/McKinney(TX, Dallas) | 22,438戸 | +133.5% |
6位 | Central Nashville(TN) | 21,723戸 | +168.5% |
7位 | Downtown Los Angeles(CA) | 19,919戸 | +51.6% |
8位 | The Loop(IL, Chicago) | 19,331戸 | +78.5% |
9位 | East Austin(TX) | 18,133戸 | +155.0% |
10位 | Round Rock/Georgetown(TX, Austin) | 17,838戸 | +124.7% |
11位 | Phoenix-Avondale(AZ) | 17,749戸 | +139.4% |
12位 | Center City Philadelphia(PA) | 17,368戸 | +52.2% |
13位 | Northeast Denver(CO) | 17,322戸 | +114.0% |
なぜ通勤圏に需要が集まるのか?
在宅勤務の普及:パンデミック以降、オフィス通勤の頻度が減少。完全な都心居住の必要性が薄れ、郊外の通勤圏でも十分という選択肢が増えた。
家賃差による節約:
ブルックリン:マンハッタンより月$470安(2024年2月時点で$4,710)
クイーンズ:最も安いマンハッタン地区より月$1,500安
ジャージーシティ:供給増+52.2%、同等の節約効果あり
フィラデルフィアのCenter City(家賃約$2,580)では、たとえ週1通勤でも月$2,600の節約効果
ニューヨークは全体では後退も、依然として高水準
過去10年で、ニューヨーク市では約108,300戸の新規集合住宅が供給されましたが、ランキングでは全米6位に後退。ただし、そのうちの3分の1がブルックリン、21%がクイーンズに集中しています。
政策背景:金利と流動性の影響
2008年の金融危機以降、FRB(米連邦準備制度)は金利を引き下げ、不動産投資が活発化。パンデミック後のさらに大胆な金融緩和が、開発を後押ししました。
まとめ
通勤圏サブマーケットの急成長は、働き方や家賃の節約志向といった生活スタイルの変化を反映しています。今後の投資先や開発戦略を考えるうえで、都市中心部だけでなく「通勤圏」にも注目が必要です。

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