ロサンゼルス市:高額不動産税が住宅建設と税収にブレーキ
- hayashi30
- 4月5日
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2023年にロサンゼルス市で導入された「高額不動産税(通称:マンションTax)」は、富裕層への課税によってホームレス対策や手頃な住宅供給の財源を確保しようという狙いでしたが、導入から2年で深刻な副作用が浮き彫りとなっています。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の最新調査では、この制度が住宅建設の停滞・税収減少・経済活動の縮小を引き起こしていると報告されています。
高額不動産税(Mansion Tax)の概要対象 ロサンゼルス市内の不動産売買(住宅・集合住宅・商業物件など)税率 売却額 ・500万ドル以上:4% ・1,000万ドル以上:5.5%開始時期 2023年4月税収の用途 ホームレス対策、低所得者向け住宅建設支援など
■ 高額物件の売却が激減、住宅着工に打撃
UCLAの報告によると、5百万ドル超の物件取引は50%も減少。この取引減により、
住宅新築プロジェクトの停滞
商業・製造業用不動産の開発抑制
固定資産税収の伸びの鈍化
といった、市の経済基盤を揺るがす結果となっています。
特に集合住宅の建設許可数は以下のように大幅減少:
2022年:11,786件
2024年:4,774件(約60%減)
■ 税収も想定を大きく下回る
ロサンゼルス市は、Measure ULAによって年間6億~11億ドルの税収を見込んでいましたが、2024年12月時点の実績は約4億8,000万ドルにとどまり、大きな誤算となっています。
■ 市外での開発に注目集まる
課税を避ける動きも顕著です。たとえば、ヒューストン拠点の大手開発会社Hinesは、ロサンゼルス市の隣にあるパサデナ市で140戸の集合住宅を6,000万ドルで取得。市外であるため、高額不動産税の対象外となり、投資家からの注目を集めました。
■ カリフォルニアの建設コストの高さも重荷に
政策以外にも、カリフォルニア州自体の開発コストの高さが建設活動を圧迫しています。
項目 | カリフォルニア | テキサス | コロラド |
建設コスト(集合住宅) | 基準(×1.0) | 約2.3倍安い | 約1.5倍安い |
建設期間の長さ | テキサスより22ヶ月長い | 短い | 短い |
開発関連の手数料 | $29,000/戸 | $1,000/戸 | $12,000/戸 |
■ 専門家の見解:「狙いは正しくても、結果は逆効果」
UCLAはこう語ります:
「高額不動産取引は全体の中では少ないが、それが新築、雇用、税収成長の中核を支えている。」
対照的に、調査では、ロサンゼルス郡の他の地域では、同時期に高級住宅の売上が増加しています。

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